1. 写真のひとつの魅力である「記録性」について、前東京国立近代美術館長・神代浩氏、川崎市市民ミュージアム学芸員・奈良本氏をパネリストに迎え、”著作物の保護期間70年時代における、写真の「著作権」と「アーカイブズ」”と題したディスカッションをJPCAとの共催で開催しました。モデレーターは、棚井副会長が務めました。著作物の保護期間が著作者の死後70年に延長された経緯、そのことで危惧されるオーファン(孤児)作品問題などを挙げ、写真家、美術館館長、学芸員の異なる立場からの意見が出されました。アーカイブについては、渡邉澄晴終身名誉会長の写真集「New York 1962-64」が完成するまでのドキュメントを取り上げ、作品を未来へ遺すことの重要性を訴えました。また、最後に神代浩氏よりこれからの写真家が目指すべき姿への提言もありました。
2. JPA30周年の歴史を振り返る「JPAはどこからきて、何処へ行くのか!」、そして「JPA公募展受賞作品講評」を開催しました。パネリストに、渡辺澄晴終身名誉会長、津田一郎名誉会長が登壇し、モデレーターを棚井文雄副会長が担当。30年に渡るJPAの歴史を振り返りながら、JPA(写真作家)がこれから目指すべき姿を探りました。作品講評では、津田氏のストレートな言葉と、ピントなどの基本的なテクニックにも厳しい渡邉氏の意見が飛び交い、楽しい講評が繰り広げられました。
3. パソコンを使用せずともカメラ操作のみで様々な合成写真が創れるようになった現在、これからの写真のあり方について、日本写真著作権協会(JPCA)との共催による著作権セミナー「著作権/肖像権の基本を知って、あなたの写真を個性的に変える」を開催しました。講師は、久野鎮会員、棚井文雄副会長が務めました。はじめに「著作権法」の基本が解説され、一部の公募展において慣例化されている「著作権」を主催者に譲渡させることや、「著作者人格権」を行使させないことの現状が具体的に示されました。そして、著作者(撮影者)がこの条件で公募展に応募した場合、自分の「作品」が主催者のモノになってしまう説明がされた際には、会場からどよめきが起こりました。その後、久野氏の提言する写真への取り組み、「心象写真」とはどんな世界であるのかを久野作品と撮影技法の紹介とともに解説しました。二人の息の合ったやり取りは、何度となく会場の笑いを誘いました。
全日、森誠子会員の司会により和やかな雰囲気の会場がつくり出され、創立30周年記念JPA展/東京展でのイベントは、大成功を収めました。