棚井文雄

ニューヨーク物語21「クリスマスカードと年賀状」

ニューヨーク物語30 「クリスマスカードと年賀状」

新年おめでとうございます
日本のお正月はいかがですか?

 12月上旬にニューヨークから日本へ発送したクリスマスカードが、未だに届いていない。全てではないが、「僕のクリスマスカードは届きましたか?」と、確認する訳にもいかず何とも悩ましい限りだ。かつて、中国のある都市から発送した150枚近い年賀状、これは一通も届くことはなかったようだ。きっと、日本へも送られなかったのだろう。また別の都市では、郵便局に行く時間がなく、ホテルマンに書き上げた葉書と日本までの切手代を渡したことがある。あの年賀状たちは無事に届いていたのだろうか…。

 ご存知のように、アメリカでは新年の挨拶を「メリークリスマス&ハッピーニューイヤー」というように、クリスマスと一緒に行う。カードは、12月に入った頃には発送し始め、いただいたものは、映画のシーンなどのように、クリスマスや新年まで部屋に飾ることが多い。また、お金を同封することもある。僕自身、ある代表の方から手渡されたクリスマスプレゼントに添えられていたカードに、ドル紙幣(撮影のお礼だと思われる)が入っていた。

 日本でのクリスマスプレゼントは、大人から子供へ、もしくは恋人同士のイメージがあるが、ニューヨークでは、友人や親族間などの大人同士でも行われている。しかも、そこには日本では考えらない世界が存在する。もし、もらったプレゼントが気に入らなかった場合には、交換に行くのだ。そんなことが出来るのもプレゼントに販売店のギフトレシート(金額は記載されていない)を同封しておくからで、事実、僕の知人はコートの色が好みではないと、他の色に交換していた。さすがは返品大国アメリカ。ハロウィンやクリスマスパーティで着た衣装をそのまま返品する人もいるくらいなので、そんなことには慣れているのだろう。

 日本にいる頃には、お正月に配達される年賀状がとても待ちどおしかった。家族写真が送られてくることには賛否両論あるようだが、僕は友人の変化やご家族の様子を楽しんでいた。しかし、企業からの葉書のように形式的な文章だけが印刷されていると、どこか寂しい気持ちになったものだ。そう思うと、自分の年賀状には生きた言葉を書きたくて、いつも膨大な時間を費やしていた。そんな年賀状もメールの時代になりつつあるが、いまでも僕の日本の住所に送っていただいたり、声の聴こえてくるような挨拶メールを下さる方々がいる。ニューヨークに住んでいると、日本でこうした人たちと関わって生きていきたい、益々そんな気持ちになる。

 一瞬にして世界と繋がるかのように感じるインターネット社会、だからこそ、紙などの媒体に記された文字や写真、そういうモノをとても愛おしく感じる。

2015.1.3

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