渡邉澄晴の写真雑科 1
1. シャープな映像
2011年7月24日で一部の地区を除き、アナログ放送は終了し、地上デジタル放送になった。アナログ時代のブラウン管の画面は4:3で走査線の数は525本。液晶ハイビジョン画面は16:9のワイド画面で走査線は1080本。有効画素数はブラウン管が35万個に対して200万個。両者の数値を比較しても画像の違いははっきりしている。
カメラもデジタル化になって、画像のシャープネス(鮮鋭度)は数段向上した。紙上にプリントしたシャープネスはアナログではレンズの性能とフイルムの性能を合わせたもの。デジタルではレンズの性能とカメラの画素数の総合である。フイルム時代は小型カメラでは、いくらレンズの性能がよくてもフイルムの画面サイズが小さいので大きく引き伸ばすと粒子の荒れも加わりボケたような切れ味の悪い画像になった。そのため風景写真などでは中版・大版カメラが使用されていた。デジタルカメラの登場により、その性能は大型カメラに匹敵するシャープネスを持つようになり、大型カメラはの利用は少なくなった。
2. 食わず嫌いと勘違い
フイルムカメラより格段のシャープネスを持つデジタルカメラは比較してみれば一目瞭然だが、未だフイルムに固執している人も少なくない。使い慣れたカメラに執着する気持ちは分からなくもないが、しかし、デジタルカメラで撮った写真は「硬すぎる」「ボケ味が悪い」「被写界深度が深い」云々となると、実際に使った経験によるものなのか、人からの受け売りなのか疑わしく思ってくる。ボケ味などは好みの問題だが、総括していえることはフイルム時代のカメラはF2.8・F2といった明るい単体レンズが多く使われていたこと。フイルムカメラの後期からデジタルカメラになってから、ズームレンズが常用され、そのためレンズの明るさもF4・F5.6など単体レンズより暗くなった。当然ボケ味や被写界深度も影響してくるのである。だからフイルムでもデジタルでも同じレンズを使うなら大きな違いはないはずである。「デジタルカメラなんて・・!」と未だにいう食わず嫌いの人には、時間の解決を待つより方法はない。
しかし、フイルム時代のノスタルジアは、その時代を過ごしたものにとっては懐かしい思い出である。そのことはいつまでも楽しく語り合いたいと思う。
渡邉澄晴の写真雑科 2
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