写真の講習会で、私が気を付けていること
© Kenji Haga
仕事柄いろいろな機会に、写真教室や写真講座的な話しをしてほしいという依頼が多くあります。そんな時には「何を気にかけ、どんな形で進めていくか」を、まず考えるようにしています。最初に依頼元に聞くことは、どのような話しの内容を希望しているのか、時間や人数は、レベルはどの程度なのかなどです。何でもそうでしょうが、対象者の情報を正確に入手して、教え方や内容を臨機応変に変えて、受講者の気持ちのど真ん中に、ドンと打ち込むような的確な講座に出来れば、より満足度が上がると思います。
入門者が対象であれば、「基礎の内容は一度は通過しなければなければならないし、ショートカットの近道はない」ことを最初に話します。出てくる専門用語は分かりやすく噛み砕いて、ポイントになりそうな難しい個所は、少し時間をかけてゆっくりと説明します。パワーポイントでスマートにサーと見せるよりも、白板に書きながら、受講者にもメモ程度にでも書いてもらったほうが、むしろ覚えが早いように思います。当然説明したら、それに合った適切な作例を、テレビや液晶プロジェクターで見てもらいます。また一過性の作例投影だけでなく、A4サイズなどに伸ばした、内容にマッチしたプリント作例も、できるだけ沢山机上に並べておき見てもらいます。プリント作例の下部には、いつも各種の撮影情報を表示しておき、講座の始まる前や休憩時間、終了後などにも見てもらいながら、作品作りの参考にしてもらっています。特に露出の補正量や、絞り値の設定などの理解度が、より深まるように思います。
少し上の実践講座的なレベルが対象者の場合は、基礎的なことはサーと復習程度に軽く触れて、実際の作例に重きを置きます。テーマに沿った作例を最低でも100枚程度は投影しながら、「何故ここでシャッターを切ったのか、注意した点は、何を強調したかったのか、どんな工夫をしたのか」などの、実践的な話しをするようにしています。よりステップアップした作品作りを目指すという、目標に合わせた話しに、どうシフトさせていくかだと思います。作例プリントを見てもらうのも同じですが、このレベルの人達は、撮り方や撮影の場所や時期など、実践的な質問をするいいキッカケにもなります。
さらに上級の専門講座的なレベルが対象者の場合は「いかに作品のオリジナリティーや新鮮さが大切か」を話しています。それは被写体を見つける視点、シャッターチャンスの見極め、撮影に出かけて行くという大切さ、撮り続けることでのシャッター数の多さが、成否を左右するからです。今年初めてJPA公募展の審査員の1人として参加しながら思ったことですが、公募展で入賞以上の250点ほどに入るためには、このレベルまで達していないと無理なのではないでしょうか。基礎や入門からの裾野を広げつつ、入賞のレベルまで引き上げていくよう、JPA会員としての、我々の普段からの努力や活動も求められていると思います。