棚井文雄

ニューヨーク物語12「サイン – あるカップルの事情 -」

ニューヨーク物語12 「サイン -あるカップルの事情-」

 ご存知のように -16℃ という極寒のニューヨークでしたが、今週は暖かくもう春の訪れかとウキウキしていました。でも、またすぐに寒くなってしまうようです。

 先日アメリカ人男性と結婚した友人から、「まったく英語が上達しない」という相談を受けました。また、やはり英語が共通語の彼氏と3年近く一緒に住んでいるのに、パーティなどで自己紹介をすることさえも難しい、という友人もいます。他にも似たようカップルを知っていますが、彼らの話を聞いてみると毎日同じ会話を繰り返しているだけのようで、あまり深い話はしないというのです。僕は英語の上達ということよりも、二人の関係が気になってしまいました。日本人の察するとか思いやるという心をもってすれば、ある程度は人の気持ちや考えを想像することも可能でしょうが、言葉なくして真に理解し合えるのかどうか少し疑問も感じます。まぁ、二人が幸せならそれでいい訳で、余計なお世話ですね。

 現在制作中の僕の作品集には一切の言葉を入れず、代わりに「サイン」としてちょっとした記号を使用しています。言葉がなかった時代の意思伝達を考えれば、言葉を超える、個々のカップル特有の、雰囲気としての「サイン」が存在しているのだろうとは思います。友人でアメリカ人のエミーは、「ネイティブ(母語話者)同士ではないカップルは、本当にお互いを理解することは出来ない、わかり合えない」と断言します。彼女は、言葉とその表現方法をとても大切にしている女性です。

 一方で、「わからないからいい」という人もいます。わからなければ喧嘩にもならないというのです。賛否両論あるでしょうが、僕は、わかりたい(笑。「サイン」を探しまくって、色んな意味を妄想してしまいそうです。しかしながら、男女を問わず母語話者同士でも「なぜ?」と思うことがここニューヨークに来て増えました…(苦笑。

2014.1.18

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