ニューヨーク物語10 「”岩崎勇”という生き方」
人生の先輩であり写真家としての友人でもある、岩崎勇氏からメールが届いた。「写真集を出版したので送りたい」とのことだった。さすがにニューヨークまで送ってもらう訳にはいかないと思ったが、いま僕の手の中にある。
岩崎勇写真集
© Fumio Tanai / HJPI320610000334
ある日、「一生片手に酸素ボンベを持っての闘病生活です。」という連絡をもらった。それまでの岩崎氏の言葉とは思えない、写真家としての何かを奪われたような心の声を感じずにはいられなかった。僕は、角田匡氏(土門拳門弟)から聞いた、土門氏が助手に背負われながら撮影をしていたこと、また木村伊兵衛氏の病床での作品を例に挙げ、「いまの岩崎さんでなければ撮れない写真を撮って欲しい、そしてそれを発表して欲しい。」というメッセージを送った。身体を気遣う言葉ではなく、こんなメッセージを送ることに迷いもあったが、岩崎氏には対写真家としての言葉を伝えたかった。
テレビで氏の活動を知り、うれしくてたまらなかった。
「岩崎勇」は、僕等の想いに答えてくれたのだ。
写真家とは何か、それはひとつの「生き方」だ。どんな環境に置かれても写真家としての生き方を貫く、それが「岩崎勇」だ。
進め! 写真家 岩崎勇。
2013.10.25